短歌の天才②

そんな短歌の天才から
「先生ちょっといいですか」
と呼ばれました。
(何か質問なのかな)
と思って席で教えようとしましたが
「皆のいる部屋ではちょっと、、、」
とのことだったので二人きりになれる部屋に行くと
「短歌の相談だったので」
とのことで(なるほど)と思いました。
皆に聞こえるのは恥ずかしいようです。
今回はテーマが「天気」で
驚いたことに下の句が決まっているけど
上の句が思いつかない
とのことでした。
下の句が先に決まっていることにまず驚きましたが
その下の句を聞いてみると二度びっくりさせられました。
「じゃあ、まずその下の句教えて?」
「『ねえ、教えてよ 神さまの気分』です」
(すごっ、本当に天才だ)
と心の中で思ったのと同時に口からも出ていました。
どうやって閃いたのかも気になる。
「『楽しみにしていた予定があったけど雨が降ってなくなってしまった』
みたいな上の句にしたらどう?」
「それいいですね」
と暫く考え込む。
「予定で難しかったら、悲しい気持ちなのに外は晴れてる、みたいな方向性でもいいかもね」
とさらに助言をすると
またしばらく考えて
「思いつきました」
悲しくて
泣いているのに
晴れになる
ねえ、教えてよ
神さまの気分
という素晴らしい句が生まれました。
「素晴らしい。天才だ。
大人がここから助言するのはあまりよくないけど
『晴れになる』は割と普通だから
『日が昇る』にすると悲しくて『沈んでいる』気分と対比になってよりいいんじゃない?」
「流石ですね。それめっちゃいいです。」
と言った後にまた少し考えて
「朝日差す、にします」
と自分の言葉を思いつきました。
他人の言葉を句に入れないところもまた素晴らしすぎます。
悲しくて
泣いているのに
朝日差す
ねえ、教えてよ
神さまの気分
という名句ができました。
その後、10分に一回くらい私のところに来て
小さな声で
「めっちゃいいのができたと思いませんか?」
「あぁ、あれはすごいよ」
というやり取りを、その日は何回もしました。
瑞々しい感性のほとばしる
素晴らしい一日でした。
名句ができて心底嬉しそうなところもまた。




コメント