良い先生⑧(毒リンゴ先生の離任式)
- 副塾長

- 2 日前
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更新日:13 時間前
中学校2年生のとき悩み相談をしたとき
「俺はおまえの人生にとっての毒リンゴだ。
おまえは俺と言う毒を食らって強くなる。
強くなれ、萩原。」
という予想外の言葉をくれた先生ですが、
中学3年生にあがるタイミングで
別の学校に転勤になってしまいました。
離任式の際
私は生徒会長だったので
異動や退職される先生方一人ひとりに
体育館の壇上で言葉を贈る役目を仰せつかり
生徒会顧問の先生に文章を提出し修正する作業に取り掛かりました。
「あれ、萩原くん。
〇〇先生(毒リンゴ先生、担任かつ部顧問)を最後にしなくていいの?」
「え、年功序列じゃなくていいんですか?」
「萩原くんならいいよ」
とすごいにこやかな顔で言われました。
離任式当日
離任される先生方が壇上に年功序列で一列に並び
私は各々の先生の前に移動して
原稿を見ながら先生に言葉を贈っていきました。
毒リンゴ先生の前で止まるかと誰もが思っていたところで
その先生を飛ばして次の先生の前に立ったので
毒リンゴ先生は驚いて
体育館には(飛ばすんかい)と笑い声が起きました。
一番年配の先生まで終わったところで
毒リンゴ先生の前に戻り
「最後に〇〇先生」
と読み上げたところで
ふいに涙がポロポロと流れて
しまいには嗚咽まじりで泣いてしまっていました。
まさか自分が泣くとは思ってもいなかったので
自分自身でも驚いて
でも泣き止まないと読めないので
泣き止もうと心を落ち着かせようとしながら泣いていると
「頑張れ、萩原、頑張れ」
と毒リンゴ先生が目の前で
またも思いもよらぬ声を掛けてくださったので
ますます泣いてしまい
その後の記憶はありません。
どうにか泣きながら
先生にも生徒にも何を言っているのか分からないまま
言葉になっていない言葉を贈り
泣きながら壇上を降りたような気がします。
後から職員室に行くと
色んな先生方から
「萩原くん、よかったよ」
と声を掛けていただいたのですが
はずかしいやら嬉しいやら
先生がいなくなってしまうことが寂しいやら悲しいやら
色んな感情がないまぜになっていました。
厳しさの中にやさしさがあり
苦難を乗り越える雑草魂を育てることのできる先生のような
人に私もなりたいですが
どうしてもやさしさに逃げてしまう自分がいます。



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